食べられる男

監督|近藤啓介 KONDO Keisuke
出演|本多力 時光陸 中野陽日 ひと:みちゃん 杉山まひろ 吉本想一郎 申芳夫 石川ともみ 川口新五
脚本|小村昌士 ワインちゃん 脚本協力|上田誠(ヨーロッパ企画) 第12回シネアスト・オーガニゼーション大阪助成作品

脚本:小村昌士 ワインちゃん 脚本協力:上田誠(ヨーロッパ企画) 撮影:千田瞭太
宣伝:平井万里子(下北沢映画祭) 宣伝美術:underson プロデューサー:吉田和睦
第12回シネアスト・オーガニゼーション大阪助成作品

2016/日本/84分/Color/Dolby Digital
©2016 taberareruotoko

食べられる男が、悲しく切なく、マズそうでした。
それを演じる本多力が愛おしかった。
そして確信した。
本多力は、食べるものではなく、観るものだ。と

ムロツヨシ
(俳優)

宇宙人がいるかどうかはさて置き、あらゆる意味で「食い物」にされている人は世界中に たくさんいるわけです。そういう「被食者」に対する他者の冷たい視線がこの映画ではしっかりと描かれていて、ゾクゾクしました。表面的には SFエンタメ作品ですが、実はかなり現実的なテーマを扱っています。近藤啓介監督は、多分巨視的な目を持っている稀有な人だと思います。今はまだ無邪気にやっているとしても、そのうち出てきてバンバン商業映画を撮ると思います。多分。

石井裕也
(映画監督)

意味深なタイトルからは思い及ばぬ、
懐かしい悪夢のような結末に倒れそうになりましたが、
観終わって一服中、いろいろスッキリ腑に落ちてくる所にこの映画の凄みを感じました。
元嫁のシーンが特に好きです。

キセル 辻村豪文
(ミュージシャン)

タイトルからしてグッときました。同時に僕の中に食べられることへの恐怖心が元々あったことに気付けました。食べられる瞬間にはほのかな快感はあって欲しいですよね。身近な人が食べられたら嫌だなぁ。

かもめんたる 岩崎う大
(お笑い芸人)

「地球平和のために一週間後に宇宙人に食べられる」というこの「村田よしお」役は本多さんにピッタリだと思いました。最期の一週間をどうやって過ごすのか、本多さん演じる村田よしおがどうなっていくのか。想像すると悲しいけど、絶対ちょっと笑っちゃいそうな気がします。あと僕は本多さんは食べたら実は美味しいと思います。

かもめんたる 槙尾ユウスケ
(お笑い芸人)

シンプルなテーマゆえに、何気ない時間で村田役の本多さんが満たされていくのがビシビシ伝わって、幸せだけど切なかった。結構おいしそうでした!

松居大悟
(映画監督・劇作家・俳優)

主人公が同級生のNくんにそっくりで、気が気でありませんでした。彼ももっさりとした男で、同じ事を必ず二度言うし、話していて面白かったことが一度もないくらい退屈で、運動も勉強も苦手でした。今も毎年夏祭りで必ず会います。彼の人生や孤独に思いを馳せたことなど一度もなかったのですが、いったいどんな毎日を過ごしているのだろうと映画を見ながら考えてしまいました。おそらく結婚しておらず、もしかしたら童貞かもしれません。彼はスポーツカーを乗り回していました。今も乗っているのでしょうか? 実家が文房具屋で、そこで働いていたのですが、数年前につぶれて、どこか別のガソリンスタンドに勤めることになったと聞きました。 Nくんみたいなさえない男にやさしい目線の映画でしたね。Nくんに思いを馳せながら、僕自身会えていない娘がいて、身につまされました。素晴らしかったです。どうもありがとうございました。

古泉智浩
(漫画家)

イントロダクション

映画『食べられる男』は、大阪芸術大学芸術学部映像学科在学中に『小村は何故、真顔で涙を流したのか?』が第17回京都国際学生映画祭長編グランプリを受賞、卒業制作『APOLO』が東京学生映画祭に入選した気鋭の24歳、近藤啓介監督が、第12回シネアスト・オーガニゼーション大阪(略称:CO2)に企画応募し、CO2助成企画として制作した長編映画だ。

地球平和のために作られた条約「地球人被食制度」により、1週間後に宇宙人に食べられることを告げられた工場員の村田よしお。彼の疑問はただ一つ「僕なんて、美味しいのかな?」。その日から、宇宙人に美味しく食べられるためにクリームを塗り、ヘッドギアをつけ、下ごしらえを始める村田。時を同じくして突然できた友達・木下、生き別れた娘に会いに行くとお金の話ばかりする元嫁、そして人懐っこい女の子ゆきちゃん——それまで友達、両親、家族のいない孤独な日々を過ごしていた村田は、様々な出会いを経て、宇宙人に食べられるまでの悲しき1週間をどう過ごすのか?

主人公の村田を演じるのは、『バクマン。』や『家売るオンナ』、『闇金ウシジマくんseason3』『真田丸』で注目を集める劇団「ヨーロッパ企画」の本多力。劇団の本公演や過去の出演作ではコミカルなキャラクターで強烈な個性を発揮していた彼が、本作では友達も家族もいない孤独なバツイチ中年の悲哀を体現し、新境地を開拓している。

星新一の短編を彷佛とさせる斬新なアイデアと独特なユーモア、「食」への風刺も込められた『食べられる男』は、2016年、6日間で100本以上もの日本映画を上映するドイツ ニッポンコネクションにてみごと審査員特別賞を受賞。審査員のグンター・デラー氏(映画監督/ドイツ)から「独創的な社会風刺である」と絶賛された。

宇宙人に補食されることで地球を救う悲しきヒーロー、村田。彼がたどり着いた結末は、我々にもいつか訪れるであろう未来なのか———。SF、コメディ、人間ドラマ、風刺劇……観れば観るほどに“味わい深い”映画がここに誕生した。



主なCO2出身監督

横浜聡子(第3回助成監督)
『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009)主演:松山ケンイチ・麻生久美子
石井裕也(第3回助成監督)
『バンクーバーの朝日』(2014)主演:妻夫木聡
三宅唱(第6回助成監督)
『Playback』(2012)主演:村上淳・渋川清彦
リム・カーワイ(第7回助成監督)
『恋するミナミ~Fly Me To Minami~』(2013)主演:シュリーン・ウォン・竹財輝之助

ストーリー

2000年、宇宙人・P星人による地球侵略が始まる。
同年、地球政府側に宇宙課が発足し、宇宙課を挟むことで、
地球人とP星人が直接、接触することはなくなった。
そして、ひとつの条例が生まれた。
「地球人被食制度」
検査により、P星人が旨味を感じる成分(サモグロビン)がより多く検出された地球人を被食者とする。(サモグロビン)とは人それぞれが持つ{悲しみ}が生み出す成分である。
「被食者認定証」が届いた地球人は逃れるすべなく、1週間の「下ごしらえ期間」(被食日まで風呂に入ってはいけない、毎晩体中にクリームを塗らなければならない、など)」を経て、必ず被食されなければならない。
これは、その手紙が届いた 1人の男の、宇宙人に食べられるまでの 1週間である。


ある日、工場員の村田の元に「被食者認定証」が届く。
人とのコミュニケーションが苦手な村田だが、工場の後輩・木下が美味しそうに弁当を食べるのを見て、思わず「それ美味しい?僕って美味しいのかなぁ」と言う。
戸惑っている木下に村田は「被食者」になった事を告白する。淡々と仕事に戻ろうとする村田に、木下は「働いている場合ですか!」と一喝。被食日までにやりたいことリストを作り、離れて暮らす村田の娘・詩織に会いに行く。しかし、元嫁・さなえは「被食者扶養保険」のお金の話しかしない。気晴らしにと、木下は村田をショーパブに連れて行く。
そこで働くゆきちゃんの垢抜けていて、人懐っこい性格に村田は徐々に惹かれていく。被食者に選ばれても仕方が無いと思っていた村田だったが、次第に生きる喜び、友情、愛を知っていく。
それに比例して、村田の(サモグロビン)の量は減っていくのであった・・・


コメント

  • 監督 近藤 啓介

    宇宙人に食べられるまでの1週間を過ごす男の話です。
    宇宙人が支配している地球で、政府側が発足した、「宇宙課」を挟み、1枚の手紙がランダムに届けられる。「被食者認定証」。
    それが届けられた人間は逃れるすべなく、宇宙人に補食されなければならない。
    あくまで、ストーリーを人間ドラマで描き、主人公が悩み、悲しみ、頑張る姿を真摯に表現する。
    が、それが「宇宙人に食べられる」という大きな設定の中にあることで、よくよく考えてみると、主人公の悩み、悲しみ、頑張る姿が「おもしろく」感じてくる。と考えました。

  • また、このストーリーは、いくつかの側面をもっており。
    「被食者認定証」が戦時中の赤紙とかぶり、社会風刺にもなる側面があるのです。しかし、あくまでエンターテイメント性を重視し、その1面が見えないように描こうと考えています。
    「食」に関する思いと、人が死ぬまでの1週間を独自の目線で伝えたいと思います。
    最後に、この映画が現実にならないことを祈るばかりでございます。

  • 本多 力

    1年前に1ヵ月間、近藤監督はじめ20代前半のスタッフ、キャストの皆と寝食を共にし合宿みたいにどろどろになりながら撮影しました。遅れてきた青春を過ごしているような日々でした。
    村田良夫という哀しい男の最後の1週間のお話です。
    その哀しみと向き合うのはしんどい時間でしたが自分には必要で有難い時間だったと思ってます。
    劇世界と撮影を通して、必死で誰かと何かと向き合って生きていくしかないんだということを強烈に思わせてくれたこの映画は、自分にとって大切な作品になりました。ぜひ観ていただきたいです。

監督紹介

近藤啓介 - KEISUKE KONDOH -

1993年大阪府生まれ。2011年、映画監督を志し大阪芸術大学芸術学部映像学科入学。
共同監督した『小村は何故、真顔で涙を流したのか?』が
第17回京都国際学生映画祭長編部門にてグランプリを受賞。
翌年、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業制作『APOLO』を監督。今作が3本目の長編映画となる。

『APOLO』予告編~Youtubeより

『小村は何故、真顔で涙を流したのか?』予告編~Youtubeより

キャスト・スタッフ



キャスト

本多力
時光陸
中野陽日
ひと:みちゃん
杉山まひろ
吉本想一郎
申芳夫
石川ともみ
川口新五


スタッフ

監督|近藤啓介
脚本|小村昌士 ワインちゃん
脚本協力|上田誠(ヨーロッパ企画)
助監督|青木伸和 坂井孝太朗
撮影|千田瞭太
照明|夏梅北斗
録音|木村健太郎
美術|松本真太朗
衣裳|森谷きよら 池本陽海
メイク|藤澤萌
音楽|スミダケンスケ キノシタぺぺ
アートディレクター|堀口努(underson)
宣伝写真|有本真紀
HP制作|宇高早紀子

助監督応援|渡邊和音 原田千春
制作助手|田中慧 加藤綾乃 清水元喜 赤穂綾美
撮影助手|山村凌平 原田莉奈 阿部周一
照明助手|堅木直之 新甫悠祐 照明応援|安田顕 上方啓文 栢工侑大
録音助手|浦川みさき 森山一輝 古橋賢太
録音応援|中村未来
美術助手|小林奨伍 美術応援|西田佳明 村地廉太郎
衣装応援|鳴瀬聖人

制作:西島雅偉
プロデューサー:吉田和睦
製作:YAMATON PRODUCTION ヨーロッパ企画/オポス


motion-gallery
Special Thanks

吉田 英彦  栗原 亜紀子  西村 俊哉  西村 史子  牧野 洋美  今井 太郎
石川 広大  志場 泰造  もぐくん  南野 佳嗣  Ozaki Masaco  千葉 純子
黒岩 美加  碇山 菜々子  佐藤 精一  中野 洋子  ロロトマシ
佐藤 智弘  泉 景子  泉 榮子  宮下 佳代  三好 万理
羽田 真由子  綾城 敏晃  光真 宣貴  清水 友貴  窪 香奈美
佐渡 仁美  堀口 美帆  楠田 英男  かえるすもっぐ 玉村 優人
千葉  柴 ゆり  鎌田 馨子  寺田 絵美  谷 政実  梵 玉
岡村 ゆきを  大場 さやか  Chiba Yukari  鈴木 健太  竹本 こはる
杉山 正佳  田川 晴子  渡辺 恵美子  草波 春香  大谷 彩佳
マリン  青木 一康  西島 詔子  小島 大助  宅間 忍
上方 郁文  矢口 博之  Watanabe Masafumi  浦川 好広  浦川 早苗
藤井 正子  R C  牧浦 透  ひえぴた子  宮田 茂子  岡田 まき
上田 勝敏  瀧本 哲也  Karukaya Satoshi  林田 晃洋  かじ 葉子
西島 諄  俵積田 真由  白木 青子  光真 梨衣  山本 移津子
池本 峰隆  Shibata Satoru  南木 京子  エチカ  Daa Hitomi
Yoshida Miya  伊東 孝将  郷 進太郎  村西 愛弥  西島 敏彦
ゆきやなぎ  Yamayoshi Rika  山村久美子  佐藤愛美  無慈悲なパイプ

登場人物

本多力

as 村田よしお

工場で働く孤独な男。信頼している友達や、恋人もいない。深い悲しみに溢れている。

時光陸

as 木下てるお

村田の工場の後輩。真面目で一直線。正義感に溢れている。 村田が被食者に選ばれた事を知り強く同情する。

中野陽日

as ゆきちゃん

ショーパブで働く女。垢抜けていて、人懐っこい性格。

ひと:みちゃん

as イッセイ

ゆきちゃんが働くショーパブで定期的にライブをしている男。普段は路上で弾き語りをしている。村田と出会い、村田の書いた詩に感動し一緒にステージで歌おうと誘う。

石川ともみ

as さなえ(48)

村田の元嫁。詩織が出来て結婚するが、すぐに村田を捨てて出て行った。気が強い性格で、村田が被食者になったことを知るが「だから何?」ぐらいに思っている。

杉山まひろ

as 詩織(18)

村田の実の娘。幼い頃に両親が離婚しているため、父の記憶はほとんど無い。

吉本想一郎

as たけちゃん(42)

村田の小学校時代の同級生。幸せな家庭を持ち、一流企業に勤めている。

ニュース



▶ 2017.04.20

新宿 Kʼs cinemaにて
4月29日(土)~5月5日(金)美味しく限定公開決定!

日替わりアフタートークゲストが決定しました!
4月29日(土) 本多力 ひと:みちゃん 近藤啓介監督
4月30日(日) 石井裕也さん(映画監督)
5月1日(月) 若手監督座談会(小林勇貴さん 竹内里紗さん 中村祐太郎さん)
5月2日(火) かもめんたるさん(お笑い芸人)
5月3日(水・祝) 横浜聡子さん(映画監督)
5月4日(木・祝) ひと:みちゃんナイト(ゲスト:呂布カルマさん)
5月5日(金・祝) 上田誠 永野宗典(ヨーロッパ企画)

インタビュー

監督 近藤啓介 - KEISUKE KONDOH -

———『食べられる男』はCO2の助成作品企画として制作された作品です。いまおかしんじ監督の推薦コメントには「プロットがいけてる」と書かれてありました。

 自分で言うのもおこがましいんですが、僕の武器は発想力だと思っています。CO2の面接では、この映画がどれだけ楽しいかをプレゼンしました。その場でハッタリも言いましたね(笑)。P星人の設定もその時はまだ考えていなかったんですが、アドリブで答えていたら審査員の方が笑ってくださって。そこで手応えを感じ、実際の脚本にも取り入れていきました。

————「一週間後に宇宙人に食べられる」というプロットはもちろん、宇宙人が旨味を感じる成分が、地球人の“悲しみ”という設定も面白いですね。

 太った人やカワイイ女の子を美味しいと思うよりも、もっと漠然としたものが良いなと考えていて。そこで思いついたのが“悲しみが深い人”。虚しさや孤独を抱えた人が美味しいとされる設定にしたほうが、ドラマが生まれやすいと思ったんです。

———主演の本多さんも、そんな独特の発想に惹かれてオーディションに参加されたお一人です。

 まさか参加してくださるとは思わなかったので緊張しましたね。本多さんならいろいろ広げてくださるだろうというのが起用の決め手でした。最初、村田はもっと無口なおじさんの設定だったんですが、本多さんに決まってからは、本多さんがこう言ったら面白いはずと思うセリフを取り入れるなど、口数を増やしていきました。ポップなイメージの本多さんの新たな一面を引き出そうといろいろ試行錯誤しました。

———予算があったら撮ってみたかったシーンはありますか?

 たくさんあります(笑)。P星人から逃げた被食者が一軒家まるごとUFOに吸い上げられるシーンを撮りたかったんですが、さすがに無理で。でも最初からお金がかからないような脚本を書いたからこそCO2に通ったと思っています。予算のない中で、どれだけ創意工夫ができるかが勝負でした。

———本作には「食」に対するメッセージも感じられます。

 元々自分としては、ひとりの人間の生き様を描きたかったんですよね。どうしようもなくツイていない人。その人は悪くないのに、なぜか不幸の連鎖に巻き込まれてしまう人。ただ、それだけを描くと単なる人間ドラマになってしまうし、この映画の肝は「宇宙人に食べられること」。なので、必然的に「食」についての描写を入れていきました。例えば村田の心情の変化を食べ物の残し具合で表現したり、元嫁や管理人の「お金がないと食べていけない」といったセリフを散りばめたり。そうやって、村田が被食者であることを観客に思い出してもらうための仕掛けを随所に入れていきました。

———さて、いよいよ劇場公開ですね。今の率直な心境を聞かせてください。

 一年前だったら「劇場公開や!」って夢見心地だったと思うんです。でもいざ公開が近づくと、どう全力でこなすかしか考えていません。今回の作品は、大好きなヨーロッパ企画とお仕事をさせていただいたり憧れていた方からコメントをもらえたりと、奇跡の連続でした。あとは僕が結果を残さないと。もっとステップアップして、応援してくれた人たちに必ず恩返ししたいと思っています。

———今後はどういう監督になりたいですか。

 今は、万人受けする映画よりも、自分が面白いと思う人に「面白い!」と言ってもらえる作品を作りたいです。いつかそれじゃダメだと気づく時がくるかもしれないんですが。それに、今はお客さんとの距離がメチャクチャ近いけど、今後映画を撮るごとに距離が離れていってしまうような気がして……。そうならないために、1回1回の上映を大事にしたい。『食べられる男』上映後もお客さんひとりひとりと話がしてみたいですね。それまでに、少しでもシャイな性格を克服しないと(笑)。



主演  本多 力 - CHIKARA HONDA -

———プロットを読んだ時の印象を教えてください。

 まず宇宙人に食べられる男の話というところに興味をもちました。「一週間後にあなたは“死にます”」と「一週間後にあなたは“食べられます”」では印象がまったく違う。後者の方が圧倒的に気持ち悪いですよね。それに、宇宙人にとっては悲しみが多い地球人がおいしいとされる設定もおもしろくて。

———撮影現場では本多さんが最年長となりました。

 これまで演じてきたのは自分より若い役が多く、40代の役を演じるのは映像だと初めて。オーディションの時は、七三分けで分厚いメガネをかけていましたが、結局このままの形に落ち着きました。20代前半の人たちの現場ってどんな感じなんやろ?と思いながら現場に入ったんですが、想像以上に関わっているスタッフさんが多く、本格的な現場でしたね。そこから1ヵ月間、スタッフ、キャストの皆と寝食を共にし、合宿みたいにどろどろになりながら撮影しました。近藤監督たちの「良い作品を作りたい!」という情熱がいい刺激になりましたね。

———2時間なら2時間、その場に身をゆだねる演劇と違い、映画は撮影が長期間に及びますし、時には撮影の順番が変わったりしますよね。気持ちの流れやモチベーションを保つのは難しくなかったですか?

 この時期は撮影のためにずっと大阪にいましたし、ほぼ順撮りだったのでそこまで難しさを感じることはありませんでした。ただ、撮影が早めに終わり友達と飲みにいった日はモチベーションが途切れそうになったかも。村田は楽しくなっちゃいけない役だし。翌日「あ、昨日楽しみすぎたな」って反省しました(笑)。そんな時、役に入り込むスイッチになったのが、村田のクセでもある“おちょぼ口”。時代劇の俳優さんがカツラをかぶった瞬間スイッチが入るのと同じように、僕の場合はおちょぼ口にすると、自然と村田になることができた。役にクセをつけるという作業も初めてでしたね。

———本多さんご自身は交友関係も広く、孤独な村田とは真逆だと思うのですが、村田という男をどう捉えて演じていましたか?

 本当は誰かと話したいのに、その気持ちにフタをして自分を守っている人だと思います。決して人嫌いで拒絶しているのではなく、極端な人見知りというか。だからこそ木下とあれだけ仲良くなれたわけで。誰かと話すきっかけをずっと求めていたけど、いつしかそんな欲求も忘れてしまうほど、長い間他者との関わりを断ってきたんでしょうね。

———いよいよ公開ですね。宣伝活動では、監督と本多さんが一緒に盛り上げている姿が印象的でした。どんな映画祭に出品すべきかを調べて意見していただいたりとか。近藤監督も「嬉しかった」とおっしゃっていましたね。

 あはははは。CO2事務局まで車を運転してポスターを取りにいったりもしましたねぇ(笑)。もともと僕らも学生の頃から自分たちだけで活動していたけれど、大人と仕事するようになって大人が必要だからということで(ヨーロッパ企画の社長で本作のプロデューサーでもある)吉田さんに参加してもらい、今がある。だから近藤監督たちのことは昔の自分たちを見ているようで、素直に応援したい気持ちになるんです。

ネタバレ含むインタビュー完全版は劇場用パンフレットに収録!

取材・文/平井万里子

予告篇