ストーリー
2000年、宇宙人・P星人による地球侵略が始まる。
同年、地球政府側に宇宙課が発足し、宇宙課を挟むことで、
地球人とP星人が直接、接触することはなくなった。
そして、ひとつの条例が生まれた。
「地球人被食制度」
検査により、P星人が旨味を感じる成分(サモグロビン)がより多く検出された地球人を被食者とする。(サモグロビン)とは人それぞれが持つ{悲しみ}が生み出す成分である。
「被食者認定証」が届いた地球人は逃れるすべなく、1週間の「下ごしらえ期間」(被食日まで風呂に入ってはいけない、毎晩体中にクリームを塗らなければならない、など)」を経て、必ず被食されなければならない。
これは、その手紙が届いた 1人の男の、宇宙人に食べられるまでの 1週間である。
ある日、工場員の村田の元に「被食者認定証」が届く。
人とのコミュニケーションが苦手な村田だが、工場の後輩・木下が美味しそうに弁当を食べるのを見て、思わず「それ美味しい?僕って美味しいのかなぁ」と言う。
戸惑っている木下に村田は「被食者」になった事を告白する。淡々と仕事に戻ろうとする村田に、木下は「働いている場合ですか!」と一喝。被食日までにやりたいことリストを作り、離れて暮らす村田の娘・詩織に会いに行く。しかし、元嫁・さなえは「被食者扶養保険」のお金の話しかしない。気晴らしにと、木下は村田をショーパブに連れて行く。
そこで働くゆきちゃんの垢抜けていて、人懐っこい性格に村田は徐々に惹かれていく。被食者に選ばれても仕方が無いと思っていた村田だったが、次第に生きる喜び、友情、愛を知っていく。
それに比例して、村田の(サモグロビン)の量は減っていくのであった・・・
コメント
監督紹介
近藤啓介 - KEISUKE KONDOH -
1993年大阪府生まれ。2011年、映画監督を志し大阪芸術大学芸術学部映像学科入学。
共同監督した『小村は何故、真顔で涙を流したのか?』が
第17回京都国際学生映画祭長編部門にてグランプリを受賞。
翌年、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業制作『APOLO』を監督。今作が3本目の長編映画となる。
『APOLO』予告編~Youtubeより
『小村は何故、真顔で涙を流したのか?』予告編~Youtubeより
キャスト・スタッフ
キャスト
本多力
時光陸
中野陽日
ひと:みちゃん
杉山まひろ
吉本想一郎
申芳夫
石川ともみ
川口新五
スタッフ
監督|近藤啓介
脚本|小村昌士 ワインちゃん
脚本協力|上田誠(ヨーロッパ企画)
助監督|青木伸和 坂井孝太朗
撮影|千田瞭太
照明|夏梅北斗
録音|木村健太郎
美術|松本真太朗
衣裳|森谷きよら 池本陽海
メイク|藤澤萌
音楽|スミダケンスケ キノシタぺぺ
アートディレクター|堀口努(underson)
宣伝写真|有本真紀
HP制作|宇高早紀子
助監督応援|渡邊和音 原田千春
制作助手|田中慧 加藤綾乃 清水元喜 赤穂綾美
撮影助手|山村凌平 原田莉奈 阿部周一
照明助手|堅木直之 新甫悠祐 照明応援|安田顕 上方啓文 栢工侑大
録音助手|浦川みさき 森山一輝 古橋賢太
録音応援|中村未来
美術助手|小林奨伍 美術応援|西田佳明 村地廉太郎
衣装応援|鳴瀬聖人
制作:西島雅偉
プロデューサー:吉田和睦
製作:YAMATON PRODUCTION ヨーロッパ企画/オポス

Special Thanks
吉田 英彦 栗原 亜紀子 西村 俊哉 西村 史子 牧野 洋美 今井 太郎
石川 広大 志場 泰造 もぐくん 南野 佳嗣 Ozaki Masaco 千葉 純子
黒岩 美加 碇山 菜々子 佐藤 精一 中野 洋子 ロロトマシ
佐藤 智弘 泉 景子 泉 榮子 宮下 佳代 三好 万理
羽田 真由子 綾城 敏晃 光真 宣貴 清水 友貴 窪 香奈美
佐渡 仁美 堀口 美帆 楠田 英男 かえるすもっぐ 玉村 優人
千葉 柴 ゆり 鎌田 馨子 寺田 絵美 谷 政実 梵 玉
岡村 ゆきを 大場 さやか Chiba Yukari 鈴木 健太 竹本 こはる
杉山 正佳 田川 晴子 渡辺 恵美子 草波 春香 大谷 彩佳
マリン 青木 一康 西島 詔子 小島 大助 宅間 忍
上方 郁文 矢口 博之 Watanabe Masafumi 浦川 好広 浦川 早苗
藤井 正子 R C 牧浦 透 ひえぴた子 宮田 茂子 岡田 まき
上田 勝敏 瀧本 哲也 Karukaya Satoshi 林田 晃洋 かじ 葉子
西島 諄 俵積田 真由 白木 青子 光真 梨衣 山本 移津子
池本 峰隆 Shibata Satoru 南木 京子 エチカ Daa Hitomi
Yoshida Miya 伊東 孝将 郷 進太郎 村西 愛弥 西島 敏彦
ゆきやなぎ Yamayoshi Rika 山村久美子 佐藤愛美 無慈悲なパイプ
登場人物
本多力
as 村田よしお
工場で働く孤独な男。信頼している友達や、恋人もいない。深い悲しみに溢れている。
時光陸
as 木下てるお
村田の工場の後輩。真面目で一直線。正義感に溢れている。 村田が被食者に選ばれた事を知り強く同情する。
中野陽日
as ゆきちゃん
ショーパブで働く女。垢抜けていて、人懐っこい性格。
ひと:みちゃん
as イッセイ
ゆきちゃんが働くショーパブで定期的にライブをしている男。普段は路上で弾き語りをしている。村田と出会い、村田の書いた詩に感動し一緒にステージで歌おうと誘う。
石川ともみ
as さなえ(48)
村田の元嫁。詩織が出来て結婚するが、すぐに村田を捨てて出て行った。気が強い性格で、村田が被食者になったことを知るが「だから何?」ぐらいに思っている。
杉山まひろ
as 詩織(18)
村田の実の娘。幼い頃に両親が離婚しているため、父の記憶はほとんど無い。
吉本想一郎
as たけちゃん(42)
村田の小学校時代の同級生。幸せな家庭を持ち、一流企業に勤めている。
ニュース
▶ 2018.08.15
全国各地で再公開決定!
・下北沢トリウッドにて8/18(土)より2週間限定公開
・京都シネマドにて9/8(土)より1週間限定公開 ※9/11(火)休館
・大阪シアターセブンにて9/15(土)より1週間限定公開
・名古屋シネマスコーレにて10/6(土)より1週間限定公開
▶ 2018.08.15
大阪にてイベント開催決定!
・「宇宙人に食べられる?映画『食べられる男』大阪公開直前イベント」開催
9/13(木)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:ロフトプラスワンWEST
インタビュー
監督 近藤啓介 - KEISUKE KONDOH -
———『食べられる男』はCO2の助成作品企画として制作された作品です。いまおかしんじ監督の推薦コメントには「プロットがいけてる」と書かれてありました。
自分で言うのもおこがましいんですが、僕の武器は発想力だと思っています。CO2の面接では、この映画がどれだけ楽しいかをプレゼンしました。その場でハッタリも言いましたね(笑)。P星人の設定もその時はまだ考えていなかったんですが、アドリブで答えていたら審査員の方が笑ってくださって。そこで手応えを感じ、実際の脚本にも取り入れていきました。
————「一週間後に宇宙人に食べられる」というプロットはもちろん、宇宙人が旨味を感じる成分が、地球人の“悲しみ”という設定も面白いですね。
太った人やカワイイ女の子を美味しいと思うよりも、もっと漠然としたものが良いなと考えていて。そこで思いついたのが“悲しみが深い人”。虚しさや孤独を抱えた人が美味しいとされる設定にしたほうが、ドラマが生まれやすいと思ったんです。
———主演の本多さんも、そんな独特の発想に惹かれてオーディションに参加されたお一人です。
まさか参加してくださるとは思わなかったので緊張しましたね。本多さんならいろいろ広げてくださるだろうというのが起用の決め手でした。最初、村田はもっと無口なおじさんの設定だったんですが、本多さんに決まってからは、本多さんがこう言ったら面白いはずと思うセリフを取り入れるなど、口数を増やしていきました。ポップなイメージの本多さんの新たな一面を引き出そうといろいろ試行錯誤しました。
———予算があったら撮ってみたかったシーンはありますか?
たくさんあります(笑)。P星人から逃げた被食者が一軒家まるごとUFOに吸い上げられるシーンを撮りたかったんですが、さすがに無理で。でも最初からお金がかからないような脚本を書いたからこそCO2に通ったと思っています。予算のない中で、どれだけ創意工夫ができるかが勝負でした。
———本作には「食」に対するメッセージも感じられます。
元々自分としては、ひとりの人間の生き様を描きたかったんですよね。どうしようもなくツイていない人。その人は悪くないのに、なぜか不幸の連鎖に巻き込まれてしまう人。ただ、それだけを描くと単なる人間ドラマになってしまうし、この映画の肝は「宇宙人に食べられること」。なので、必然的に「食」についての描写を入れていきました。例えば村田の心情の変化を食べ物の残し具合で表現したり、元嫁や管理人の「お金がないと食べていけない」といったセリフを散りばめたり。そうやって、村田が被食者であることを観客に思い出してもらうための仕掛けを随所に入れていきました。
———さて、いよいよ劇場公開ですね。今の率直な心境を聞かせてください。
一年前だったら「劇場公開や!」って夢見心地だったと思うんです。でもいざ公開が近づくと、どう全力でこなすかしか考えていません。今回の作品は、大好きなヨーロッパ企画とお仕事をさせていただいたり憧れていた方からコメントをもらえたりと、奇跡の連続でした。あとは僕が結果を残さないと。もっとステップアップして、応援してくれた人たちに必ず恩返ししたいと思っています。
———今後はどういう監督になりたいですか。
今は、万人受けする映画よりも、自分が面白いと思う人に「面白い!」と言ってもらえる作品を作りたいです。いつかそれじゃダメだと気づく時がくるかもしれないんですが。それに、今はお客さんとの距離がメチャクチャ近いけど、今後映画を撮るごとに距離が離れていってしまうような気がして……。そうならないために、1回1回の上映を大事にしたい。『食べられる男』上映後もお客さんひとりひとりと話がしてみたいですね。それまでに、少しでもシャイな性格を克服しないと(笑)。
主演 本多 力 - CHIKARA HONDA -
———プロットを読んだ時の印象を教えてください。
まず宇宙人に食べられる男の話というところに興味をもちました。「一週間後にあなたは“死にます”」と「一週間後にあなたは“食べられます”」では印象がまったく違う。後者の方が圧倒的に気持ち悪いですよね。それに、宇宙人にとっては悲しみが多い地球人がおいしいとされる設定もおもしろくて。
———撮影現場では本多さんが最年長となりました。
これまで演じてきたのは自分より若い役が多く、40代の役を演じるのは映像だと初めて。オーディションの時は、七三分けで分厚いメガネをかけていましたが、結局このままの形に落ち着きました。20代前半の人たちの現場ってどんな感じなんやろ?と思いながら現場に入ったんですが、想像以上に関わっているスタッフさんが多く、本格的な現場でしたね。そこから1ヵ月間、スタッフ、キャストの皆と寝食を共にし、合宿みたいにどろどろになりながら撮影しました。近藤監督たちの「良い作品を作りたい!」という情熱がいい刺激になりましたね。
———2時間なら2時間、その場に身をゆだねる演劇と違い、映画は撮影が長期間に及びますし、時には撮影の順番が変わったりしますよね。気持ちの流れやモチベーションを保つのは難しくなかったですか?
この時期は撮影のためにずっと大阪にいましたし、ほぼ順撮りだったのでそこまで難しさを感じることはありませんでした。ただ、撮影が早めに終わり友達と飲みにいった日はモチベーションが途切れそうになったかも。村田は楽しくなっちゃいけない役だし。翌日「あ、昨日楽しみすぎたな」って反省しました(笑)。そんな時、役に入り込むスイッチになったのが、村田のクセでもある“おちょぼ口”。時代劇の俳優さんがカツラをかぶった瞬間スイッチが入るのと同じように、僕の場合はおちょぼ口にすると、自然と村田になることができた。役にクセをつけるという作業も初めてでしたね。
———本多さんご自身は交友関係も広く、孤独な村田とは真逆だと思うのですが、村田という男をどう捉えて演じていましたか?
本当は誰かと話したいのに、その気持ちにフタをして自分を守っている人だと思います。決して人嫌いで拒絶しているのではなく、極端な人見知りというか。だからこそ木下とあれだけ仲良くなれたわけで。誰かと話すきっかけをずっと求めていたけど、いつしかそんな欲求も忘れてしまうほど、長い間他者との関わりを断ってきたんでしょうね。
———いよいよ公開ですね。宣伝活動では、監督と本多さんが一緒に盛り上げている姿が印象的でした。どんな映画祭に出品すべきかを調べて意見していただいたりとか。近藤監督も「嬉しかった」とおっしゃっていましたね。
あはははは。CO2事務局まで車を運転してポスターを取りにいったりもしましたねぇ(笑)。もともと僕らも学生の頃から自分たちだけで活動していたけれど、大人と仕事するようになって大人が必要だからということで(ヨーロッパ企画の社長で本作のプロデューサーでもある)吉田さんに参加してもらい、今がある。だから近藤監督たちのことは昔の自分たちを見ているようで、素直に応援したい気持ちになるんです。
ネタバレ含むインタビュー完全版は劇場用パンフレットに収録!
取材・文/平井万里子
予告篇