―― では実験室1の、きたまりさんの「相撲コメディ」から。
きた はい、相撲をモチーフにした舞踊劇を作ろうと思ってます。物語もあります。相撲部の話で、セリフとダンスのシーンがあって、話が展開していくと、そこには相撲あり、音楽ありの…。
村上 楽しい。
きた エンターテイメントですね。
合田 全部あるじゃないですか。
きた 全部の要素で、ふふふ。
村角 すごいなあ。
きた そういった、相撲をベースにした「相撲コメディ」です。
―― 主演は石田さん?
きた はい、石田さんのお父さんが力士だったというところから始まってます、この企画は。
村角 (笑)そうなんですか?
きた 石田さんのお父さんが元力士っていうのは、皆さんご存知だと思うんですけど。
(笑)
きた 三段目で引退したんですって。そのうえ怪我っていうとすごくドラマがあるんですよね。強くなりたいけどなれなかった、身体がもうこれ以上限界がきた、そういうお父さんの思いが、石田さんにまだ伝わってないんじゃないかと。お父さんの廃業した思いが。
村角 廃業した思い?(笑)
村上 父の魂みたいな?
きた そう。そういうところを私が引き出して、石田さんに伝えたいなって思ってます。父が元力士だったということを扱うことで、言葉にされてない親子の物語がそこに浮かび出たらいいかな、って。
はあー(感心)
村上 いちど僕、「暗い旅」で石田さんと相撲取りましたけど、やっぱうまかったです。
きた やっぱDNAが!
村上 喉輪(のどわ)されたんで。
きた やっぱりね、そういう小兵らしい技があると思うので、そういうところをピックアップしていきたいなって思いますね。
村角 お父さん観に来てくれたらいいですね。
きた ほんとに。
―― 相撲コメディならではのキャストですね。
きた そうですね。満腹さん。
村角 ああ、よろしくお願いします。実はうち(THE ROB CARLTON)から、たった2人しかいないパフォーマーが全部いってるんです。
(笑)
きた ロブカールトンではできないことをやってもらいます。
村角 楽しみです。とくに満腹とか、普段は裸NGなんですけど、今回はNGとか言ってる場合じゃないぞ、ってちゃんと言ってあるので。
きた ははは、ありがとうございます。
村角 本人も、「まあしゃあないな」って言ってました。
(笑)
―― ダンサーさんもいますね。
きた はい、とりあえず女の子も相撲部で、今回は。
村上 それ大丈夫ですか?
きた ふふふ(笑)
村角 それは伝えてあるんですか? そういう意図だぞっていうのは。
きた ちゃんと相撲部っていうポジションであなたたちを誘った、というのは伝えてあります。
(笑)
きた あと音楽パートもあります。相撲には「ふれ太鼓」があり、お客さんが入るとき、帰るとき、それぞれ音楽があります。やっぱり相撲には常に音楽が寄り添ってありますし、ダンスにも寄り添ってありますから、その要素を入れたら結果的に舞踊劇になる。
村角 じゃあ和風なんですか?
きた 和ですね。
―― では続いて、同じく実験室1の村角太洋さん。「プレゼンテーションコメディ」とは?
村角 きたさんの「和」に対して、うちは完全に「洋」です。(登場人物が)全員外国人かもしれないっていうプランで、みんな横文字の名前なんじゃないかなと。
(笑)
きた なに人ですか?
村角 まあ、英語圏ですね。
きた ふふふ。
村角 あのー、TEDとかね、スティーブジョブズのプレゼンとか、ああいったことが僕の軸ですね。ただ、25分普通にプレゼンテーションしても、それは普通のプレゼンテーションになっちゃうんで。
(笑)
村角 それはコメディじゃないんで、ちゃんとコメディできるように。表と舞台裏、どちらもできればいいなと思いますね。
―― 岡嶋さんをキャスティングされましたが。
村角 はい。演説といえば、ということで、伝説を耳にしてますので。岡嶋さんに「台詞量が多いのを目指してます」というメールを送ったときに、「台詞量は慣れているので大丈夫だ」と心強いメールが返ってきました。
ええー。
村角 これはありがたいなと。
村上 頼もしい。
きた かっこいい!
―― あとは、パルプンテ三羽烏と呼ばれている…(笑)
村角 はいはい(笑)
合田 誰のこと?
村角 欣也さん、国王(西マサト)、みっくん(御厨亮)というのが、Xファクター三羽烏。
(笑)
村角 この辺はなんでしょうね、今までほんとにXファクター的な使われ方をしてたと思うんですね。それを今回は「欣也さんいたかな?」「国王いたかな?」くらいに馴染ませるっていうのが、ひとつの目標です。
(笑)
村上 面白そう。
―― ダンサーさんも二人いますね。中西ちさとさんと城之内コゴローさん。
村角 そうなんですよ。場合によってはちょろりと踊っていただくんじゃないかなと、せっかくなんでね。ただ情報によると、ダンサーさんに「ちょっと踊ってよ」というのは失礼になる、と。
きた (笑)
村角 ミュージシャンに「ちょっと即興で歌ってよ」というのと同じような感じで。
村上 なるほどね。
村角 なので、まあ全役者さんそうですけど、丁寧に接していこうかなと思ってます。みんなが楽しいで終わりたいんで。誰ひとり嫌な思いをしない、という出し物を作りたいです。
村上 いいですね。熱いプレゼンを聞いたような。
村角 ははは(笑)
きた なんか最後説得力がでましたね。
―― 続いて実験室2の、「時計コメディ」の村上慎太郎さん。
村上 僕は今回、永野さんにおじいちゃん役をやってもらおうかなと。
おおー。
村上 でまあ、人間がこう、時間の長さとかを「時計」で計ってきたことによって「時間」というものが生まれたんじゃないか、とか…
きた え、ちょっと待って。
合田 難しい話(笑)。
村上 つまり、(時計の)針で区切らなければ、太陽が沈む沈まないっていうだけで、別にそこに区切りはなかったんだけど、区切りをつけることで便利になりつつ、どんどんスピードが速くなってきたっていう、そういったところから今入ってて。
村角 おお。
村上 時間の長さっていうのがなにで計られてるのか、おじいさんになった永野さんが悩むと。そして恋をするんですけど、恋をしたときに、なぜ私は歳を取ってしまったんだ、みたいな。
村角 …悲しい物語にならないですか?
(笑)
村上 かなり悲しい。
きた コメディ?
村上 まあ、悲哀なコメディに(笑)。自分にも発見があるような体験にしたいなと。コメディはもう、役者さんがコメディにしてくれるので。
村角 なるほど。
村上 僕はもう、大船に乗ったつもりで、そういう方に集まっていただいたつもりです。
―― ちなみに今回の人選は?
村上 えーっと、言うこと聞いてくれる人たち。
(笑)
きた え、これ大丈夫?
村上 演出家を信じてくれる人たち。
村角 言い方ですよね。
村上 最後まで一緒に船に乗ってくれる人たち。
―― 乗ってくれない人もいたってことですか?
村上 やっぱり役者さんによっては、目立ちたいとか。
合田 ふふふ(笑)
村上 これじゃちょっと、俺の客は呼べんなとか、エゴが出る人が。
きた 俺の客(笑)
村角 誰のこと…?
村上 いやいや、それは昔から、往々にしていうじゃないですか。
村角 誰というわけではなくてね(笑)
村上 それでいうと今回の方々は、自信を持って、最後まで船に一緒に乗っていただけるかなと。
村角 確かにそんなメンツな気がしますね。
村上 清正くんにも、おじいちゃん役をやってもらおうかなと。
村角 ダブルおじいちゃんで。
村上 ダブルおじいちゃんです。永野さんと清正が囲碁を打ってるのをやりたいなと思って。
合田 ふふふ(笑)
村上 なげっちゃん(福井菜月)は、忍者の役を。
村角 けっこう内容を言いますねえ。
村上 全然言いますよ。
合田 めっちゃ決まってるんですね。
きた ネタバレしていいの?
村上 それは、ばんばん裏切っていくんで。
村角 (笑)なるほどなるほど。
合田 忍者?
村上 なげっちゃんって忍者の身体性を感じるんですよね、なんか。
村角 くノ一の?
村上 三重出身やから。
村角 ああ、そっか。
合田 ようけいらっしゃると思うけど、三重の人。
(笑)
村上 いや、特に感じるなと(笑)
きた ふーん。
村上 柚貴ちゃんには、若い子の役を。そして古藤くんにも若い子の役を。
村角 おじいちゃんチームと若いチームがいるんですね。
村上 そこを忍者がいかにつなぐかですね。
―― 舞台装置はどうですか?
村上 舞台装置は、できるだけ時計をいっぱい出したいなと思ってるんですけど、思ったより掛け時計が高くて。みんなの予算見ながら、あまった予算で全部時計買おうかなって。
(笑)
村上 なんで、予算との戦いです(笑)
―― では同じく実験室2の合田さんの話を。「道をたずねるコメディ」というのは?
合田 はい。村上さんが難しい話をされてはったんで、ちょっと恥ずかしいんですけど。ほんまに道をたずねていくっていうだけの話です。
(笑)
合田 なんかね、旅行に行きたいなって思ってたんですけど、お金がないので、舞台上でそれをしようと思ってます。
村角 自分の思いを舞台にぶつけるってことですか?
合田 そうです。それでなんかどんどんその、人に案内されるままに、いろんなところに、次から次へと場所を移していくっていうような。
村角 怖くもなりそうな。
合田 たぶん暗くなると思います。
(笑)
合田 どうせ(笑)
きた どうせ?(笑)
合田 いや、ならないように気をつけようとは思うんですけど、なに書いても暗くなるんですよね。
村角 そんなことないでしょ(笑)
合田 ロードムービー的な感じになったらいいなと思ってます。道中の感じでおもしろがれたらなと。だから目的地とかはあんまり決めないままに、いや、いちおうは設定するかもしれないですけど、道中決めないままにウロウロできたらいいなという感じです。あとほんまに僕が旅行に行けた気持ちになれれば。
村角 おもしろいアプローチですね。
―― 出演者はどういった風に決めましたか?
合田 なんですかね、仲のいい人…ですね。
きた へー。
合田 とか、なんか不条理的なことに興味が、理解があるやろなって思う人ですね。
(笑)
きた 不条理に理解がある人って、どんな人なんですか?
合田 そこに破綻があっても、無理やり繋げてくれるような人。
村角 「ここ気持ち悪いわ」とか言う役者さんじゃないってこと?
合田 気持ち悪さを楽しめる人ですかね。
村上 あんまり笑いの型とかにこだわる人とかは難しかったりするかもしれないですね。
きた 笑いの型?
村上 なんかこう、三つ目で落とすとか。
きた ああ。
―― さっきから村上さん、誰のことを…?
(笑)
村上 いや、誰のことも言ってないですよ(笑)。本に書いてあったことばかり言ってます。
きた それ、なんの本に書いてあるの?(笑)
村上 演出ノートとか読んだらありますよ。古い時代から、いま現代でも。
村角 そんな本があるんですか。
―― 不条理といえば永野さんですよね。
合田 そうですね、永野さんとやりたくて。前に暗い旅でやってた「2人のビッグショー」(永野が作・演出した不条理なイベント)、あれを見て、僕はああいうことがしたかったっていうことを思い出して。
へー。
合田 中学校の時に、いろんなことが嫌になった時にテレビとか見てて、ああいうものに救われてきたなっていうのを思い出して。それで永野さんとぜひちょっとやりたいと。
きた ふふふ(笑)
村角 想いがすごく強そうな。
村上 ビッグショーはかなり不条理ですからね。
合田 舞台を見てるわけではないので分かんないですけど。でもテレビで見る限りではもう、かっこいいと思って。石田さんが納得いってない感じも含めて全部かっこいいと。
―― 石田さんはそういうの嫌いですからね。
(笑)
―― 「俺の客を呼べない」って言いそうなのも石田さん。
(笑)
村角 石田さんこっちチームでよかったかもしれませんね。
村上 変な感じになっちゃった。そういうことじゃなかったです(笑)。
―― 実験室1と2、好対照なチームですね。
きた そうですね、お祭りですからね。
村角 こっちはお祭りです。お祭りチーム。
合田 こっちは悲哀チーム。
(笑)
村上 いやいやお祭りですよ。合田くん、それは祭りでいこうよ。
合田 (笑)ああ、カーニバルで。

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