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今回の公演にゲストで呼ばれたのは、拙者ムニエルモッカモッカの加藤啓と、ロロの望月綾乃。2人とも永野宗典のユニット「永野宗典不条理劇場」への出演経験があり、さらに加藤は、上田演出&酒井・永野・本多出演の「加藤啓アワー」に脚本を書き下ろしたりと、ヨーロッパ企画とは浅からぬ縁があった者同士でもある。現在京都で絶賛稽古中の2人に、自分の劇団のことやヨーロッパ企画との出会い、メンバーの印象などを、いろいろ語ってもらいました。

 

 

 

 

■啓さんは以前から「カッコイイな」と思って観てました(望月)

 

加藤 僕ロロは、この前京都で初めて観たんですよ。すっごいね「久しぶりにこういう気持ちにさせられてたなあ」という感じになって、面白かったです。

望月 あー、ありがとうございます。
加藤 ずっと恋愛の話だけをやってるのがいいんですよ。昔のトレンディドラマ…たとえば『東京ラブストーリー』なんて、恋愛の話しかしてないから面白かったんです(笑)。今のドラマは、結構社会問題とかを取り入れてたりしてるから。それと同じで、ロロもズバッと恋愛そのものだけを描いている。それが気持よかったです。
望月 啓さんに観てもらった作品(『LOVE02』)は、一番恋に特化したお話でしたね。自分たちでも「ちょっとおかしいんじゃないか?」っていうほど、「好き!」って言いまくってて、もう「“好き”って何だろう?」みたいになってくる、という。
加藤 1つの話の中で「好き」って言葉が、あれだけ出てくる舞台は初めて観ました(笑)。ただその中で望月さんは、(ロロ主宰の)三浦(直之)君が、一番ヒロインに据えない感じの子だなあと思いましたね。
望月 あー、でも毎回そう。ヒロインではないですね。
加藤 実は望月さんの芝居を観たのは(永野宗典不条理劇場の)『劇野郎が来る!』が初めてだったんだけど、男3人の芝居の中に、途中からスッと自然に入っていってたんですよね。ああいう男ばかりの中に女子がスッと入るのって、結構難しいと思うんだけど、何か堂々としていたというか。本当はモテようとしてるのかもしれないけど、そういう感じをあまり受けなくって。それがすごくいいなあ、と思いました。
望月 いや、実際は全然モテたいんですけどね(笑)。それで啓さんは、私が観に行くお芝居に、よく出てらっしゃったんですよ。本人を前にして、めっちゃ言いづらいんですけど…普通に「わ、カッコイイな。ステキだなあ」と思ってました。
加藤 そうですか…過去形になってるけどね(笑)。
望月 いや、今でもずっと思ってますよ! ただ拙者ムニエルやモッカモッカの本公演では、観たことがなくて。そこではどんな感じなんですか?
加藤 拙者ムニエルはコメディですね。ナンセンス・コメディとか言われるけど、変なシーンがいっぱい集まって、みんなも変なキャラをいっぱいやってる、みたいな…って説明すると、つまんなそうに聞こえるかもだけど(笑)。ただ最近、本公演はやってないです。
望月 へえー。モッカモッカもコメディですか?
加藤 コントだけをやってるユニットです。コントとコントの間に、映像コントを挟んで入れるスタイルで。モッカモッカ名義では、ショートショートムービーフェスティバル(SSMF)とかで、ヨーロッパ企画とはいろいろ一緒にやらせてもらってます。

 


 

 

■知り合って2年で本公演に呼ばれた望月さんはエリート(加藤)

 

望月 ヨーロッパ企画さんは、まずロロの初めての京都公演の時に、石田さんや酒井さんが観に来て、「面白かった」って言ってくださったんですよ。それで昨年の2回目の公演の時には、上田さんも来てくださって、打ち上げにも参加して。その時男肉(du Soleil)の(池浦)さだ夢さんや、うちの(板橋)駿谷さんとラップで盛り上がったりしてました。
加藤 すごいねえ、その若い子たちの盛り上がり方(笑)。
望月 それをきっかけに、ちょっと上田さんとしゃべるようになったんですね。で、その後に「不条理劇場に出ませんか?」というお話をいただいて。という流れで、今回本公演にも呼んでいただいたと思うんですけど。
加藤 僕はたまたま『空前のクイズアワー』を観て、それからファンになったんですよ。
望月 何年ぐらい前ですか?
加藤 2003年の作品だから、9年前か。ゴニョゴニョ言ってる言葉が何かキュートだし、世界観も「何だこれ?」っていうような、あまり観たことない感じだったんで。その後知り合いになって、イベントに参加させてもらったりしてたけど、ずっと「本公演に出たいなあ」と思ってたんです。でもSSMFとか加藤啓アワーとか、ヨーロッパ企画のど真ん中にはずーっと呼ばれず、周りをウロチョロしてた(笑)。
望月 イレギュラーで(笑)。
加藤 だから今回本公演に出られるのは、長年の恋が実ったって感じなんですよ。9年越しの恋が(笑)。だから知り合って2年ぐらいで、本公演に呼ばれた望月さんは、僕からしたらエリートです。
望月 えええ?! いやいや、運が良かっただけですよ!
加藤 いや本当に。僕はずっと「出たい」と言い続けてたし、もう「しつこいからしょうがねえな」って感じで呼ばれたと思ってる(一同笑)。だから本当に、この短期間で呼ばれた望月さんの潜在能力はすごいんだろうなあ、と。そこはね、焼きもち焼いてます(笑)。
望月 ちょっと、ちょっと待ってください! 完全に萎縮するパターンです、それは(笑)。それよりも、加藤啓アワーの話聞かせてもらっていいですか? 私は観れなかったんで。
加藤 不条理劇場の『虚業』の東京公演打ち上げの時に、(ヨーロッパ企画マネージャーの)吉田さんに「啓さん、芝居を書きませんか?」って、突然言われたんですよ。僕は長編の芝居を書いたことがなかったので「無理ですねえ」とか言ってたんだけど、その後会場を出て、駅まで行って、電車に乗る頃には「やります」と言ってました(一同笑)。
望月 その短い間に、一体何があったのかと(笑)。加藤啓アワーは映像でちょっとだけ観たんですけど、その一瞬のアングラっぽさがすごかったですね。
加藤 実際、全体的にアングラっぽかったですね。それは全部、上田君の演出で…多分、ヨーロッパ企画の本公演では出せないアングラ魂が噴出したんでしょうね、あの公演で。上田君が先陣切って、どんどん下ネタを付け足したりしてたから。
望月 意外ですねえ! 上田さんに何か、そういう色っぽいイメージないですもんね。
加藤 ないでしょ? だから普段抑えこんでいた諸々が、僕の本の何かに刺激されたんだと思います(笑)。
望月 すごいですね。全然想像がつかない…観たかったような観たくなかったような(笑)。

 

<後編へ続く>