いつもヨーロッパ企画を応援してくださっているお客様には、突然の、そして残念なお知らせですみません。
本多力が、ヨーロッパ企画を退団することになりました。
24年間、ヨーロッパ企画のメンバーとして活動してきたので、本多くんのいないヨーロッパ企画は想像しにくい、というお客様もいてくださるかと思います。
こうしてお知らせするのが心苦しくもありますが、伝えさせてください。
本多くんから、僕が代表として相談を受けたのは、今年の6月でした。
俳優として、これから歩んでいきたい道があり、そのために環境を変えたい、という相談でした。
それから何度も会って話をし、辿りついた結論が、ヨーロッパ企画をやめる、ということでした。
僕としては、ずっと一緒に活動していたかったし、そうできると思っていたので、僕なりにたくさん説得し、思いも伝えましたが、本多くんの気持ちは一途でした。
それならば受け止めて、劇団として応援しなくては、と思いました。
これから一緒にやりたかったことは、まだまだたくさんありました。
とはいえ、本多くんが話してくれた言葉は、まっすぐ未来へ向かっていて、聞いていて面白そうでもありました。
今まで一緒にやってこれたのは嬉しかったし、おかげさまでずっと面白く、感謝することばかりです。
本多くんは、「あんなに優しかったゴーレム」の稽古場に来てくれて、今度はメンバーたちに話してくれました。めちゃくちゃ緊張していたと思うし、メンバーも戸惑ったでしょうが、本多くんの言葉に耳をかたむけ、受け止めたり、和ませたりしてくれました。
長らくやっているので、そのあたりも劇団の呼吸だなと思いました。
本多くんは、素晴らしく面白いメンバーだったし、頼もしくもふてぶてしい俳優です。
もっさりした未来人から、生徒思いのギョエーと叫ぶ先生、九十九龍城の壁にハマった悲劇の兄まで、いろんな役を痛快に演じぬいてくれました。もっと観たかったし、これからは劇団の外で、さらに色んな痛快な姿や、今まで見れなかった本多くんを、見せてくれると思います。
お互い、これからも同じ世界を歩んでいくし、道が交わることもあるでしょう。
その時を楽しみにしつつ、今はこれで一区切りとさせてください。
劇団としては寂しいお知らせでごめんなさい。どうかお見守りくだされば幸いです。
僕らもまだまだ慣れないので、しばらく慣れない感じでやります。
これからも、ヨーロッパ企画を、そして本多力を、よろしくお願いいたします。
2022.12.1 上田誠
いつも応援してくださってる皆様、関係者の皆様へご報告があります。
この度、わたくし本多力はヨーロッパ企画を退団することになりました。
9月に事務所を移籍し、劇団はどうするのだろうと心配してくださっていた方もいらっしゃるかと思いますが、ヨーロッパ企画の本多力としての仕事に区切りがついたタイミングでのご報告になりました。
少し長くなりますが、僕の気持ちを書かせていただきます。
19歳の頃、上田くんに声をかけてもらって出演した第2回公演『翼よごらんあれが恋の灯だ』からはじまり、24年間という時間をヨーロッパ企画の一員として過ごしてきました。
この24年間が、今の僕を形作ってくれていることは間違いありません。
本公演やイベントを通じて出会った方々の優しさ、応援して下さっている皆さんからの嬉しい感想、メンバーみんなとの思い出や経験した数々の出来事、思い出とはくくれないような本当に小さな、記憶のカケラのようなものもひっくるめた全てが、僕にとってとても大切な支えとなっています。
ここ数年、ヨーロッパ企画のメンバーは、監督や脚本、演出など新たな分野で活躍しています。みんな多才で本当に凄いなぁと感じると同時に焦りを感じることもありました。自分はこの先何ができるのだろうと考えるきっかけにもなっていました。
そんな中で改めて、自分は役者一本でやっていくんだと、じわじわと自覚が湧いてくるようになりました。ただもちろん、その難しさも感じています。
そして、悩みに悩んだ末に、僕は自分の一部のようになっていたヨーロッパ企画を離れることを決めました。
もともと変化することをそんなに好まずに生きてきたし、何より今や家族よりも長くて濃い時間を過ごしてきた仲間たちと別れるというのは、人生で一番大きな決断でした。
それでも、居心地のいいところから飛び出すことでなにか変われる気がしたし、変わらなければいけないとも思い、事務所を移籍し、退団をするという決断に至りました。
上田くんはじめ、ヨーロッパ企画のメンバーのみんなには最後まで僕の気持ちを尊重していただき、感謝しています。
本当にありがとう。
いつか少しでも恩返しできるよう、今まで以上に役者業に邁進する覚悟です。
長くなりましたが、この文章を読んでくださっている皆様にも、様々な作品を通して繋がることができますよう、より一層努力して参ります。
ヨーロッパ企画共々、引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。
2022.12.1 本多力